スポンサーサイト

  • --/--/--(--) --:--:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

苦しみの世界からの手招き

  • 2013/09/09(月) 13:05:53

苦しみの世界はもう描いた。

憎悪や狂気の世界ももう描いた。


描ききった。

そうやって思っていた僕。



『人は過ちを犯したら、その罪はもう二度と拭えないのか』

それが僕が『忘れることを望まれた世界たち』の中で描いたテーマだった。




この後何をかいたらいいんだ…。歌になにを込めたらいいんだ。

僕はそう思っていた。



もう苦しみはかいたんだ。たくさんの苦しみを色んな世界観で表現した。あとは何のくるしみがある??もう全部かいた…。



何の歌を創ればいいんだろう…





一度はやめてしまおうかとも考えた。
なぜなら、自分は何の歌をつくりたいかが、分からなくなってしまったから。




けど、それでも僕は歌をつくりたいと思っていた。歌いたい。何の歌がつくりたいのかわからないけど、それでも歌をつくりたい。






だから、僕は歌のつくりかたをかえた。



楽しい歌を…。

幸せな歌を…。

みんなが歌を聞いたら笑顔になっちゃうような、そんな歌を…。



ライブでもみんな、楽しそうに笑ってくれていた。
歌に合わせてみんなが歌ってくれるなんて、初めての経験だった。

僕も…楽しかった。





でも…、これでいいんだろうか…??

そうかんがえる時が、多くなっていった。










そして、過去の自分を振り返ることが、日に日に多くなった。

過去、一人で歌い始めのころ、僕は孤独だったな…と。

周りの人みんながおっかなくて、独りぼっち。友達がいなかった。

会話もうまく出来ないし。






…でも、今はどう?そうやって自分に問いかけた。



僕は今、孤独じゃない。


お友だちも沢山出来た。『がっつー!』って気さくに呼んでくれるたくさんの人たち。


おっかないと思っていたのは、僕の勝手な想像で、フタをあけてみたら、本当に優しくて、気にかけてくれるそんな人たちばっかりだった。
救われたこともたくさんあった。相談にも沢山のってくれた。





日常生活でもそう。


僕は今幸せだ…。





今幸せなのに、苦しみの歌なんてかけない…。第一、ウソをつくことになる


もう孤独じゃない…。



それに、もう自分でかきたい世界は全部かいたんじゃないの??



つくりかたを変えて、楽しい僕になったはずなのに、このまんまでいいのだろうかと、自問自答は続いた。







楽しい歌をつくって、ライブでみんながニコニコしてくれる…。人を幸せな、楽しい気分にしてるじゃないか。

すごいじゃないか。


それでいいじゃないか。



でも…





僕の頭の中に、いつまでも黒いアザのように片隅に残っている…。
『苦しみ』というテーマがちらつく…。

…どうしてだろう??

100%明るい自分になれない僕…








これでいいんだろうか??

これが今やりたかったことだろうか??






そんなことを考えてたら、ふと、こんなことを思った。


『いつの間にか消えていた、孤独で苦しかった僕は、どこにいったんだろう?』



今は幸せ。孤独じやない。孤独バイバイ。


それじゃあ孤独な自分というのは、あの気持ちは、独りぼっちだった自分というのは、とがっていた自分は、どこにいくんだろう??なかったことになって忘れていってしまうのだろうか??






それが、成長なんだろうか…。





…僕は『あぁ、そうか』と気付いた。





そうか、孤独で独りぼっちだった自分も、ぼくは好きだったんだ…と。




あのころ何もかもが敵で、だからこそ好き勝手やって、歌で全てを救えると信じて疑わなかったあの頃の僕。自分だけの世界の中で生きていた僕。
 

信じたことに一直線で…



そんな孤独な自分も好きだったんだ、と。







だから孤独で、苦しいテーマに惹かれてしまうんだ…。





…?ほんとに…??
それだけのこと…??






そもそも苦しみ、悲しみをテーマに書き出したのはいつからだっけ。


18歳のころだっけ…?



そういや歌に興味をもったのは、高校生だったかな…




そうだ…。


のめり込むようにブルーハーツをきいて、ミッシェルやブランキーをきいたんだ…



どうしてあんなに没頭したんだろう…。



そんなことを考えていたら、僕は、あることを思い出した。


隠していて無かったことにしていたある思い出。



誰にも知られたくなくて、なかったことにしていた思い出。





そうだ…。俺、いじめられてたんだ…。


小学、中学、高校…。いじめられてたんだ。






その瞬間、どうして苦しみのテーマにこだわるのか、どうして頭の隅にずっとあったのか、その理由がわかって、僕は胸がキュッと締めつけられたような思いがした。







逃げていた本当の自分が、今の自分を睨みつけてたからだったんだ…と。



『おまえ、無かったことにしようとしてんじゃねーだろーな』


あの頃の気持ちにちゃんと整理をつけずに、地縛霊となってしまった自分に、そう言われた気がした。




僕は自然とギターをもって、歌を口ずさんでいた。




(がっつ)

スポンサーサイト

高校一年生

  • 2013/09/16(月) 13:26:22

『高校一年生』




作詞・作曲→がっつ






●映像→
高校一年生【PV】 / がっつ(YouTube)



 

●歌詞→

ヤメロヤ(ハハッ)
キモクネーシ(アハハ)
死ネッテ書イタノダレヨ(アハハ)


イタイッテ(ハハッ)
タタクナヤ(アハハッ)
無視ダシ(アハッ)
マタカヨー

ハ・ハ・ハ…


ハハハ…
アハハ…



オイオイ(笑)
フザケンナヤ(アハハッ)
教科書ステタノダレヨ(アハハッ)

ツメテー(ハハッ)
ミズカケンナヤ(アハハッ)
クッセーナ(笑)
ツバハヤメロヤ(笑)



母さん…
ごめんなさい…

僕は…
自殺したい…



アイキャンフライ…




中三の暑い夏
一人でさみしかった

『高校生になったら、
明るい人になろう。
勇気を出して
自分を変えてみよう。
そしたら…
友達できるかな…』


もうわかったから…!
もう望マナいから…!


フライ…

フライ…





友達がほしイ…
友達がほしい

たった一人でいいから…
友達ほしいんだァ…

バカな話したり
サッカーしたりさぁ…




たのしいのほしいの
気持ちわかってほしいの…



フライ…



フライ…




ボクとあそんでくれてありがとう




かまってくれてありがとう




母さんごめんね





エイエンツヅクイタミノナカデ



ボヤケルボクノセカイ…



ガイトウニアツマル蛾


クロアリ


クモ









(がっつ)

いじられ→いじめられ

  • 2013/09/23(月) 10:29:39

辛い思いを胸にかくして愛想笑いをしていた僕。

学校で笑えば笑うほど、自宅では全然笑わなかった。

お父さんやお母さんの話も高校にはいってからはほとんど無視していた。


いじめられていることを恥じる気持ちと、情けない気持ちからほとんど無視していた。



学校にいきたくない



学校にいきたくない




休もうと何度も思った。



お腹がいつもいたかった。



暗い中学生の頃と違い、明るく、なんでも元気に受け答えした高校一年の時、初めはクラス中から注目を浴びた。


しかしそれも長く続きはせず、どうやら、根っこにある『暗い闇』というのは、どうもにじみ出ているようなのだ。



僕は再び、『いじられるキャラ』になっていった。

これを見てる人も知っての通り、クラスには『いじる人』と『いじられる人』というのがある。もちろんこの二種類だけじゃない。


前者はいわば、『揚げ足とりの名人』たちである。

ぼくはどうあってもこの『いじる人』になれなかった。



さらには中学生の頃は暗かったらしい、という情報はどこのつてだか、『高校デビュー』という肩書きに加え、瞬く間に広がっていった。





『友達が欲しい』という気持ちがどんどん空回り、僕はクラスから浮いていった。



これは、自分を変えてみても、変えなくても、僕は友達は出来ない、ということを証明した。



いじられることはどんどんエスカレートし、トイレにいくと、水を掛けられ、しだいにそれはツバに変わっていった。

さすがにおしっこはなかったな。



『やめろや~(笑)』と笑ってそれを突っ込む僕。


泣くことも出来ないし、笑って過ごすしか出来ないんだよ。ほんとに。






休みたいとお母さんに初めて言った高校一年生。


『いじめられてるの?』といわれた。


ぼくはなにも言えなかった。


お母さんは泣いていた。


『休んでいいよ』とお母さんは言ってくれた。



けど、そのことをお父さんが知ったとき、お父さんが怒った。


『学校にいけ!!』

内容はおぼえてないけど、馬乗りにされた記憶はある。


学生は学校に行かなければだめだ。
学校に行かないなどお父さんが許さん。


聞く耳はまったくなかった。





学校に行った。



だって、グレる勇気もないんだ。





だから休まずに学校に行った。








休み時間になって、トイレにいくと、ほとんど教科書がゴミ箱にあった。



僕はその都度ほとんど笑って、突っ込んだ。


みんな笑った。



休み時間が苦痛で苦痛でたまらなかった。



小学生、中学生よりエスカレートしていく乾いた笑いが、とても苦しかった。






あー…思い出すの辛くなってきた。




(がっつ)

地獄への選択肢

  • 2013/09/30(月) 13:33:47

本当に死にたくて死にたくて、どこか遠くに、誰も自分のことをしらない町に行きたかった。






とにかく、とにかくこの世界がはやく終わって欲しかったんだ。




高校生活は本当に地獄の日々だった。


くだらない揚げ足とりや、さげすみ、暴力のない世界へ、低次元な世界からはやく抜け出したかった。






実際リストカットもしたけど、全部深くは切れなかった。死にたくて死にたくなかった。



だから何回も切った。





僕はリストカットをし、何回も一回死ぬ。
その都度ゼロからやり直せるようなきがしていたから。
新しい自分になって再出発を図っていた。


僕にとってのリセットボタン、それがリストカットだった。



でも、駄目だった。
何度切っても気持ちがまるで切り替わらなくなっていった。



もうだめだ…って思った。






中学三年生の頃、僕はすでに失敗していたのだ。
選んじゃいけない選択肢を選んでしまった。


僕があの時、『明るくなろう』なんて思わなければ…。





 


友達が欲しくて、明るくなろうと決めた中学三年の夏。




1日五時間の勉強の甲斐あって、合格した高校は、中学の同級生がほとんど不合格になったという狭き門だった。


1,4倍だったかな。



僕は内心すごく喜んだ。



新しい人生を、新しい僕をスタートできるんだ…!なにせ、中学の頃の自分を知ってる人はいないのだ。









しかし、楽しかったのはクラスの人がグループを作り出す前の最初の1ヶ月ぐらい。




みんなが様子を見合っていて、同じ匂いのする人を探してどんどんくっついていった。



同じ匂いというのはやっぱりあるようで、いわば、いけてる人、ちょっと暗そうな人は同じグループには入らない。



似ている者同士で、面白い人なら面白い人通しで各グループが出来上がっていく。






僕は一発ギャグや、思い切った突っ込みをしたりしたり、おおよそ昔とは想像もつかないキャラクターになっていたこともあってか、なんと、クラスの中でも『イケてるグループ』に属することになった。




僕はすごい嬉しかった。



中学の頃、関わりに合いたくないと思っていた賑やかなグループに自分がいるのだ。メンツは違えども。




しかし、これがよくなかった。

(がっつ)

急降下

  • 2013/10/07(月) 13:29:48

背伸びして勝ち得た代償はあまりにも大きく、僕は『イケてるグループの中で、イケてない人』になっていた。


みんなが『なんかこいつは違う』ときづきはじめる。




決定的になったのは、『がっつって中学生の頃、漫画かいてたんだって?』だ。



実際絵をかくことが好きで、中学生の休み時間等は、ほとんどなにかしらの模写をしてすごしていた。



絵がうまくなりたい一心で、デッサンをしていた。


が、僕は『お絵かきする人』が、どんな目をされるかしっている。


明るい自分となった今、このことはかなり知られたくない部類のことで、僕は強烈なパンチを喰らった思いだった。


案の定クラス中が笑いはじめ、みんなが僕を見る目が変わっていった。


僕の背中はどんどん冷たくなり、お腹が締め付けられていった。



そしてとうとういじられるキャラとして確立した僕は、思いも寄らぬ地獄の日々をおくることになったのである。



この間入学してからわずか3ヶ月。









最初のみんなの目的は『笑い』だった。笑いを取るためにいじられた。けど、それはそれを受け取るほうの僕も、いじる方もすこしずつ変わっていった。



いじられることが多くなって、笑ってやり過ごしていたけど、それもやっぱりつらくなっていった。




過去の僕の情報をネタに、『がっつって昔~だったんでしょ~(笑)?』と聞いてくるクラスメイト。

そのたびにハンマーで頭をぶん殴られたような、そんな気持ちになり、笑うのが一瞬遅れる。





『高校デビュー』という言葉をつくった人をどれほど憎んだか。







この言葉は自分の為だけにあるような言葉だと思った。



笑う奴はみんな死ねばいいとおもった。


みんな大っ嫌いだった。




(がっつ)

環境コントロール

  • 2013/10/14(月) 14:47:53

僕は普通になりたかっただけなんだ。


普通になろうとして変わることが、こんなにも辛いなら、かわらなければ良かった。



どうして友達がほしいなんて思ったんだろう。




最大のミスは自分だ。



自分の性格に反して、明るくなろうとしてしまったから。








どうして僕は独りじゃだめだったんだろう。


ずっと独りだったじゃないか。






僕はどうしていじめられるんだろう。



なんでこんなにうまく行かないんだろう。




自分をコントロール出来ない毎日。



気がつけば、紙に鉛筆でマルをぐるぐると書き続けていたこともある。



呪いのノートだって書いた。






自分の過去全てを断ち切って、僕の過去のことを誰も知らない場所で人生をやり直したい。
 


どんな選択肢をとればみんなが僕をいじめないんだろう。



中学と高校でメンバーは全然違うのに、またイジメるような性格の人ばかりが僕に集まるんだ。



結果的に中学生の頃と高校の頃の状況は同じになってしまった。
より悪化した。



どうしていじめる人ばかりが僕の周りにいるんだろう。





みんな大っ嫌い…





でも…、

 






ふと考えれば、僕が変わったことでいままでなら想像もつかないぐらいにみんなが僕をみてくれた…。


かまってくれた。







それでいいじゃないか。



中学生の頃は最後の方はほとんど居ても居なくてもおんなじだった存在から、理由はどうあれみんなが僕を気にしてくれたじゃないか。




ありがとうみんな。


かまってくれてどうもありがとう



いいんだ…




これでいいんだ








そんな思いを巡らせながら、僕は屋上から飛び降りた。





(がっつ)

『地獄の業火』

  • 2013/10/21(月) 13:13:58

『地獄の業火』




作詞・作曲→がっつ






●映像→
地獄の業火【YouTube】




 

●歌詞→

あつい
あつい
アアアアあヅい


くるしぃ
くるしぃ…
くるしいよぉぉぉ


バカなことしたもんだ
ヴヴヴウウ

もう二度といたしません
ヴヴヴウう゛



なかったことにしてくりゃさんせ
あの時どうかしていたのです


アアアア

あつい
あつい
アアアア
あつい


くるしい
くるしい
くるしいよぉぉぉ


死ニタイ…
死ネない
あぁくるしいよ


おゆるしを…
おゆるしを
もういたしません


あづい…
あづイ…












(がっつ)

闇の中で

  • 2013/10/28(月) 13:34:18

『おびただしい人の群れの中、阿鼻叫喚の声が崖の中でこだまする。



頭がおかしくなりそうなぐらいに、断末魔の叫びがそこらじゅうで飛び交う。


耳も…心もおかしくなりそうだ。恐怖という恐怖が体と心を支配する。




地獄の炎の揺らめきの中、三メートル、いや五メートルはあろうかという鬼たちが棍棒を振り回し、人間を奥へ奥へといざなう。


その声は地響きそのもので、鬼たちが一声あげるたびに、『ひきつけ』を起こす者も何人もいた。






動いていなければ、地面の岩に足の裏の皮が引っ付いてしまい、立ち止まることは炎に焼かれてしまうことを意味する。




舌を抜かれていて、喋ることも出来ない。



ただただ暑い…。




まるで身体中の血液が沸騰しているようだ。






汗も枯れ果て、水が飲みたくて飲みたくてたまらない。





火であぶった細くて鋭い鉄の棒を持ち、目に突き刺してくる黄色い鬼。
だらしなく開いた口に、焦点のあわない目。

煮えたぎる油の大釜の中へ突き落とす青鬼。




蜘蛛の糸に絡められ、動けないところを下から火炙りしている赤鬼。





何度殺されたらいいのだろう。



幾度と殺されても、どう言うわけか、鬼の手の平の上で、再び息を吹き返してしまうのだ。




あとどのぐらいここで苦しまなければならないのだろう。




あつい…




苦しい…




あつい…









僕は…地獄にいた。



地獄というものや鬼というものは、本当の本当にあったのだ。
  


おとぎ話の類のものと思っていた。


しかし…







しかしそれなら何故…






…どうして僕は、地獄行きなのですか…??





何故僕が地獄に…??





悪いことなんて何一つしていない…。




屋上から飛び降りたのだってそうだ。

あいつらが僕をいじめなければ僕だって自殺しようなんて思わない。





あんなにいじめられたのに…。



悪いこと何にもしていないのに…。





それでも僕は地獄行き…。





娑婆でもいじめられて…、





死んでも地獄で…





どうして…。どうして…。』






屋上から飛び降り、尋常じゃない痛みが頭部に一瞬訪れた後、僕は意識を失った。





そして目を覚ますと、僕は一人暗闇の中にいた。


目を開けても、目を閉じても闇の濃さは変わらなくて、ひたすら真っ暗。





音もまるで無くて、無音の時に聞こえる『キーン』という音が耳の中で痛いぐらいに響いてる。


『おーい』と言ってみても、反響はせず、口から出た音は、闇の彼方へ吸い込まれていってしまう。




自分が『屋上から飛び降りた』、『自殺しようとした』ということを思い出すのには、少しばかりの時間が必要だった。





わけがわからなくて、僕は混乱し、少し錯乱状態にあった。





『ああ、そうか…。俺…』



そして思い出した途端に、暗闇の中からどこからともなく声が響いてきて、僕は一瞬ビクッとなった。




『うわ~…。まじかよ。まじで死んだのあいつ。引くわー。』


『自殺したんだって~』




『家でやりゃいいのによ。まじ迷惑。』





『うわ!帯広じゃん!もう絶対あそこ近づきたくないわ』


無数の声が耳に飛び込んでくる。



まるですぐそばで喋られてるみたいだ。


その時一際大きくて聞き慣れたこえが、耳に刺さってきた。


『…馬鹿やろう!!』




聞き覚えのある声だ…。


『俺ぶん殴ってやるからな!』


『お父さん!止めてください!お父さん!』


『やめなってお父さん!!きっとがっつもつらかったんだって!』



『親より先に死ぬバカがど……るってよ!!あいつの…出せ!粉々にするから!いいから…ってよ!!』




間違いなくこの声はお父さんとお母さんそしておねーちゃんだった。



これは夢か??


それとも死んだのか??



僕は死んだのか…??









暗闇のなかで、誰かのすすり泣く声や、笑い声など、声だけが響いた。お父さんやお母さんの声はもう聞こえない。




そしてそれもやがて、少しずつ小さく聞こえなくなっていった。



というより、通り過ぎていくような感じに近い。音のあるポイントから右へ右へと少しずつ離れて行っている感じ。




完全に何の音も聞こえなくなってきたとき、正面のほうの奥に、小さくて赤い光があった。
いつからあったんだろう。その一点をしばらく見続けると、その赤い光は徐々に大きくなり、恐らく僕の方に近づいてきている。



その赤い光はなんなのか。





だんだん大きくなる。





…。









それは、ゴウゴウと燃え盛る炎そのものだった。



炎を担いだ牛車がこちらに近づいてくる。






(がっつ)

警告音

  • 2013/11/04(月) 13:11:31

凄まじい勢いで近づいてくる炎の牛車


『!!!』

嫌な音がして、僕はとっさに耳をふさいだ。
金属製の音、おそらく牛車の車輪の音が割れるぐらいに大きな音を立てて近づいてくる。




全身に鳥肌が立っている。


黒板に爪を立てる音以外に、こういった不快な音系統で鳥肌が立ったのは初めてだ。ニワトリの首を絞める時の悲鳴によく似た不快な音がドンドン近づいてくる。




暗闇の中から突如として現れた炎の牛車。
耳をふさぎながら僕は何度も『夢にちがいない、夢ならはやく覚めて』と念じた。


嫌な予感が身体中から発している。



耳鳴りがし始めているのは、僕の体全体が、警告しているサインだ。
夢の途中で金縛りに引っ張られるときも、僕は必ずと言っていいほど、耳鳴りがする。



『ヤバいヤバい…!!絶対嫌なことが起こる…!!ダメだダメだ…!!』






とうとう牛が息を切らしているのが、車輪の音に紛れて、聞こえてきていた。



なにがなんだか解らない恐怖に、心臓がバクバクと脈を打つ。


『きっと悪いことが起こる』身体全体がそう言ってる。



火の粉がパチパチと飛び交っていると思った瞬間、僕は強烈な熱風に後ずさりした。




『あつっ…!!…うわっ!!あぶねっ!!!


炎をまとった車輪付きの小屋をひいてきた牛は、僕の目の前ギリギリで急に止まった。



『わ…!!!』


ドンッ!!



あまりの恐怖に足がすくみ、しりもちをついた。





『あわわわ…!!』
今すぐ走って逃げようにも、足がすくんで動けない。目と鼻の先に真っ黒な牛が『ブホー…!!ブホー…!!』とよだれをたらしながら息切れをしている。




牛をこんな近くで見たことは今まで一度もない。ゆらめく炎がつくりだす赤い光が二本の大きな角をもった牛をよりいっそう不気味なものにしていた。



牛の背には、高級そうな飾りのマットのようなものをつけていて、品格の程を伺えるが、若干興奮しているのか、今すぐにでも自分の上にのしかかって来そうだ。



テレビやなんかで黒い牛はみたことあるが、自分のからだの三倍はあろうかという生き物が、よだれがかかりそうなぐらい自分に近付かれると、テレビで見ていた、知識として知っていた牛とはまるで別の生き物に感じ、とてもこわい。







『目をそらしたら絶対襲ってくる』
直感でそう思った僕は、牛の目を見つめながら、震える体でなんとか後ずさりして、牛と炎から少しずつ距離をとった。







その時『ゴー…』という深い地響きのような音が断続的に聞こえてきた。








『なんだこの音…!?地震…!?』

自分の中で鳴っている警告音が鳴り止まない。




すぐさま辺りを見回せど、ひたすら暗闇の中で、なんら変化もない。





やはり音の発信源は、黒牛の後ろにあった。




『!!!』


牛が引っ張っている炎に包まれた車輪付きの小屋?が、炎の陽炎のせいなのか、グニャグニャとありえない動きをして揺れはじめた。





息を切らしていた牛がいつの間にか呼吸を整えて、急に大人しくなっていた。








その出入り口となるすだれが開いたかと思うと、なんとその入り口の大きさにおおよそ全く合っていない大きな大きな片足がヌッと現れた。



太ももの筋肉がまるで谷のように割れていて、ふくらはぎの筋肉もボッコリと山のように割れている。テレビでよく見るボディービルダーや、ドラゴンボールの大きくなった孫悟空の筋肉のようだ。


人間の足に近いと思いきや、足の指を見ると、指が三本しかない


片足だけで、僕の身長をゆうに越えている。



僕は街で不良に絡まれた時に似た、縮みあがってしまうような、心臓を掴まれたかのような動けない思いで、身体中で絶対的な恐怖を感じながら、一つずつ出てくる各部位をただただジッと眺めているのだった。





(がっつ)

其れ

  • 2013/11/11(月) 13:06:09

僕はただただ『それ』を見上げていた。




どうやってあの小さな車輪付きの小屋に入っていたのかはわからないけど、この場所は常識を逸してるのは直感でなんとなくわかってきていた。この生き物は、入っていた。それが事実で、今まさにそれが目の前にいる、このことが逃れられない現実そのもの。


小さな車輪付きの小屋は、いまだにグニャグニャと動いていた。


目の前には身体はゆうに四メートルはあろうかという巨大な生き物。


燃え盛る炎。


見渡せば漆黒の闇



僕は目の前に立ちはだかる、巨大な生き物をただただ見上げていた。




何をしても無駄、と全身で、考えるまもなく、そう僕は悟っていた。


でも決して全てを受け入れて平常心になったのではなく、


怖くて怖くて何にも出来ない。



動けない。金縛りみたいに。



そんな感じだった。


しかし、僕は恐怖を一旦通り過ぎたのか、身体はいつの間にか震えがとまり、頭の中はなんともいえない、少し冷静な状態になっていた。

怖いのには違いないけど、パニックになっていないという不思議な事実。



色々見渡せているという、この事実。



僕はおかしくなったんだろうか、と思っていた。



赤暗色の色をした肌は炎のせいだろうか、赤っぽくみえた。


三本の足の指に、隆々とした足の筋肉。一本一本の足が、まるで大木のようだ。腰には無地のクリーム色をした布きれを巻き、山のように六つに割れた腹筋。腕もまた、大木のようだ。上腕筋肉と思われる部分が、異常なぐらい膨れ上がっている。



パンチされたら骨は粉々だろうな…、と僕は思った。



手と思われる指もまた、三本であり、しかしその一本一本が電柱のように太い。
基本ベースとなるものは人間であることは間違いないが、筋肉がありすぎて身体のバランスが異常に悪いように見える。



動きはなんだか遅そうに感じた。


人間の骨格に近いからだろうか、『ありえないものを見た』という感じがあまりしない。




その時、背中を覆い隠すように頭部から伸びに伸びた毛並みが、どこからともなく吹いた風によってなびかれて、その巨体の生き物の顔がさらされた。






『…っ!!』



思わず僕は声を上げた。





目玉が…!!



一つ…!!



しかも…!!








顔の半分はあろうかという巨大な一つ目玉が、


その目玉が、


視線をそらさず、



ただただ




僕を






じ~…っと







見ていた。





長い髪の毛でわからなかったが、この生き物は、僕をずっとみていたに違いない。







心臓がバクバクなった。




『この生き物の射程圏内にある』とわかった途端、なんだか得体のしれない恐怖が再びやってきた。



殺される!!!




確実に殺される!!!







息を吸うという行為を忘れ、僕は頭から足の先まで血の気が引いていくのを感じた。


目の前の生き物がなんなのかを考えるなんていう余裕すらなく、思ったのはただ一点。


ぜったいに殺される』







言葉なんか通じるわけがない。何か喋ったりと反応したわけでもない。
でも、その雰囲気、匂い、とにかくその生き物に取り巻く空気が『危険』と、全身で反応していた。







今でもその視線は他へ移ることはない。



心臓がまたバクバクなった。





どうやって襲うのか考えているのか…。でも、例え自分がどんな行動をとったとしても、心の奥底まで見透かされていそうでならない。そのぐらい全てを見られている感じがする。



顔の半分はあろうかという一つ目の下には、鼻のようなものはなく、顔と認識できるその部分には、一つの大きな大きな、盛り上がった目玉しかなかった。





まるでこの世のものとは思えない出で立ちだ、と、さっきまで、人間の骨格に近いから…なんて思っていたが、今では全然違うものに見えてきている。



この世のものとは思えない。



巨大な生き物はまるで先ほどとかわりなく、微動だにせず、僕をじ~…っと、見つめていた。





長すぎる髪の毛がゆらゆらと揺らめき、大きな大きな目玉を隠したりしながらするものだから、本当に不気味だ。




絶対に殺される。





絶対ヤバい。


何かしなきゃ…






殺される…





逃げれないか…








絶対殺される…





走るか…?




どこに…??








その時、すぐ近くの所で、大きな音で『バチッ!』と炎が弾き、僕は我に返った。



『あっつっ!!…ぶねっ!!』




弾け飛んだ火の粉が僕の肩に一つ、ついた。



『あっつ!!ぁあっつ!!……っ!!!』



こんなに火の近くにいたのに、恐怖のあまり、まるで熱さを感じていなかった自分の『熱に対する記憶』を思い出させるには、十分すぎるぐらい火は熱く、火の粉を、半ばパニック状態で慌てて払いのけていると、僕はこの巨体で不気味な生き物から目を反らしたことに、しばらくしてから気がつき、すぐさまに、とっさに視線を戻した。




『…っ!!!!』





目玉の下にはさっきまで何も無かったはずだ。


その目の下には口らしいものが出来ていて、その急に現れた口らしきものは、三日月のように端と端が上に上に上がって
……、



まるでニタ~…と笑っているかのように、いや、その生き物は、僕を見て確実に笑っている…。




さらには、今もなお断続的に聞こえる『ゴー…』という地鳴りによく似た音が、この不可解な一連の出来事で、よりいっそう恐ろしく、不気味な雰囲気を演出していた。











その時だった。



それまで断続的に聞こえてきていた、地響きのような『ゴー…』という重低音が突然消えた


息を吸う音が響き渡っていくかのような無音の中、



その不気味で巨大な生き物の口元から、




呟くように、


か細くて弱々しい、





人間でいうところの、




裏声をつかったような違和感のある声が、







聞こえてきた。






『エマオ…カノイツア…』






『カノルジンカクツア…』





『ナダンルエミニニオハレオアャジ…ケケケ』





『キイクゴジ…キイクゴジ…キイクゴジ…』





その巨大な身体からして想像がつかない声色と声の小ささに、身の毛がよだつのを頭部あたりで主に感じていた。


何語かもわからない、暗号のような、意味がわからない言葉に、一体何をされるんだろうという、先の見えない恐怖が増していく。

恐らく、『何か』をすることが決まったのだと思う。







一瞬だった。





僕の目をそらすことなく、裏声のようなか細い声で、暗号のような言葉を発したその不気味で巨大な生き物は、


笑い、






僕を尋常じゃないスピードで、





至極簡単にひょいと捕まえ、




まるでゴミをすてるかのように、



勢いよく、




黒牛が引く、燃え盛る炎の、





車輪付きの小屋へと、





僕を





強引に投げ入れた。







ズダーーーン!!!



大きな音が闇の中に響いた。







もうろうとする意識の中、僕は、『そういえばなんでこいつはここにきたんだろう…』と、思っていた。




口から温かくて、ドロッとしたものが流れ、僕は気を失った。







(がっつ)


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。