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警告音

  • 2013/11/04(月) 13:11:31

凄まじい勢いで近づいてくる炎の牛車


『!!!』

嫌な音がして、僕はとっさに耳をふさいだ。
金属製の音、おそらく牛車の車輪の音が割れるぐらいに大きな音を立てて近づいてくる。




全身に鳥肌が立っている。


黒板に爪を立てる音以外に、こういった不快な音系統で鳥肌が立ったのは初めてだ。ニワトリの首を絞める時の悲鳴によく似た不快な音がドンドン近づいてくる。




暗闇の中から突如として現れた炎の牛車。
耳をふさぎながら僕は何度も『夢にちがいない、夢ならはやく覚めて』と念じた。


嫌な予感が身体中から発している。



耳鳴りがし始めているのは、僕の体全体が、警告しているサインだ。
夢の途中で金縛りに引っ張られるときも、僕は必ずと言っていいほど、耳鳴りがする。



『ヤバいヤバい…!!絶対嫌なことが起こる…!!ダメだダメだ…!!』






とうとう牛が息を切らしているのが、車輪の音に紛れて、聞こえてきていた。



なにがなんだか解らない恐怖に、心臓がバクバクと脈を打つ。


『きっと悪いことが起こる』身体全体がそう言ってる。



火の粉がパチパチと飛び交っていると思った瞬間、僕は強烈な熱風に後ずさりした。




『あつっ…!!…うわっ!!あぶねっ!!!


炎をまとった車輪付きの小屋をひいてきた牛は、僕の目の前ギリギリで急に止まった。



『わ…!!!』


ドンッ!!



あまりの恐怖に足がすくみ、しりもちをついた。





『あわわわ…!!』
今すぐ走って逃げようにも、足がすくんで動けない。目と鼻の先に真っ黒な牛が『ブホー…!!ブホー…!!』とよだれをたらしながら息切れをしている。




牛をこんな近くで見たことは今まで一度もない。ゆらめく炎がつくりだす赤い光が二本の大きな角をもった牛をよりいっそう不気味なものにしていた。



牛の背には、高級そうな飾りのマットのようなものをつけていて、品格の程を伺えるが、若干興奮しているのか、今すぐにでも自分の上にのしかかって来そうだ。



テレビやなんかで黒い牛はみたことあるが、自分のからだの三倍はあろうかという生き物が、よだれがかかりそうなぐらい自分に近付かれると、テレビで見ていた、知識として知っていた牛とはまるで別の生き物に感じ、とてもこわい。







『目をそらしたら絶対襲ってくる』
直感でそう思った僕は、牛の目を見つめながら、震える体でなんとか後ずさりして、牛と炎から少しずつ距離をとった。







その時『ゴー…』という深い地響きのような音が断続的に聞こえてきた。








『なんだこの音…!?地震…!?』

自分の中で鳴っている警告音が鳴り止まない。




すぐさま辺りを見回せど、ひたすら暗闇の中で、なんら変化もない。





やはり音の発信源は、黒牛の後ろにあった。




『!!!』


牛が引っ張っている炎に包まれた車輪付きの小屋?が、炎の陽炎のせいなのか、グニャグニャとありえない動きをして揺れはじめた。





息を切らしていた牛がいつの間にか呼吸を整えて、急に大人しくなっていた。








その出入り口となるすだれが開いたかと思うと、なんとその入り口の大きさにおおよそ全く合っていない大きな大きな片足がヌッと現れた。



太ももの筋肉がまるで谷のように割れていて、ふくらはぎの筋肉もボッコリと山のように割れている。テレビでよく見るボディービルダーや、ドラゴンボールの大きくなった孫悟空の筋肉のようだ。


人間の足に近いと思いきや、足の指を見ると、指が三本しかない


片足だけで、僕の身長をゆうに越えている。



僕は街で不良に絡まれた時に似た、縮みあがってしまうような、心臓を掴まれたかのような動けない思いで、身体中で絶対的な恐怖を感じながら、一つずつ出てくる各部位をただただジッと眺めているのだった。





(がっつ)

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其れ

  • 2013/11/11(月) 13:06:09

僕はただただ『それ』を見上げていた。




どうやってあの小さな車輪付きの小屋に入っていたのかはわからないけど、この場所は常識を逸してるのは直感でなんとなくわかってきていた。この生き物は、入っていた。それが事実で、今まさにそれが目の前にいる、このことが逃れられない現実そのもの。


小さな車輪付きの小屋は、いまだにグニャグニャと動いていた。


目の前には身体はゆうに四メートルはあろうかという巨大な生き物。


燃え盛る炎。


見渡せば漆黒の闇



僕は目の前に立ちはだかる、巨大な生き物をただただ見上げていた。




何をしても無駄、と全身で、考えるまもなく、そう僕は悟っていた。


でも決して全てを受け入れて平常心になったのではなく、


怖くて怖くて何にも出来ない。



動けない。金縛りみたいに。



そんな感じだった。


しかし、僕は恐怖を一旦通り過ぎたのか、身体はいつの間にか震えがとまり、頭の中はなんともいえない、少し冷静な状態になっていた。

怖いのには違いないけど、パニックになっていないという不思議な事実。



色々見渡せているという、この事実。



僕はおかしくなったんだろうか、と思っていた。



赤暗色の色をした肌は炎のせいだろうか、赤っぽくみえた。


三本の足の指に、隆々とした足の筋肉。一本一本の足が、まるで大木のようだ。腰には無地のクリーム色をした布きれを巻き、山のように六つに割れた腹筋。腕もまた、大木のようだ。上腕筋肉と思われる部分が、異常なぐらい膨れ上がっている。



パンチされたら骨は粉々だろうな…、と僕は思った。



手と思われる指もまた、三本であり、しかしその一本一本が電柱のように太い。
基本ベースとなるものは人間であることは間違いないが、筋肉がありすぎて身体のバランスが異常に悪いように見える。



動きはなんだか遅そうに感じた。


人間の骨格に近いからだろうか、『ありえないものを見た』という感じがあまりしない。




その時、背中を覆い隠すように頭部から伸びに伸びた毛並みが、どこからともなく吹いた風によってなびかれて、その巨体の生き物の顔がさらされた。






『…っ!!』



思わず僕は声を上げた。





目玉が…!!



一つ…!!



しかも…!!








顔の半分はあろうかという巨大な一つ目玉が、


その目玉が、


視線をそらさず、



ただただ




僕を






じ~…っと







見ていた。





長い髪の毛でわからなかったが、この生き物は、僕をずっとみていたに違いない。







心臓がバクバクなった。




『この生き物の射程圏内にある』とわかった途端、なんだか得体のしれない恐怖が再びやってきた。



殺される!!!




確実に殺される!!!







息を吸うという行為を忘れ、僕は頭から足の先まで血の気が引いていくのを感じた。


目の前の生き物がなんなのかを考えるなんていう余裕すらなく、思ったのはただ一点。


ぜったいに殺される』







言葉なんか通じるわけがない。何か喋ったりと反応したわけでもない。
でも、その雰囲気、匂い、とにかくその生き物に取り巻く空気が『危険』と、全身で反応していた。







今でもその視線は他へ移ることはない。



心臓がまたバクバクなった。





どうやって襲うのか考えているのか…。でも、例え自分がどんな行動をとったとしても、心の奥底まで見透かされていそうでならない。そのぐらい全てを見られている感じがする。



顔の半分はあろうかという一つ目の下には、鼻のようなものはなく、顔と認識できるその部分には、一つの大きな大きな、盛り上がった目玉しかなかった。





まるでこの世のものとは思えない出で立ちだ、と、さっきまで、人間の骨格に近いから…なんて思っていたが、今では全然違うものに見えてきている。



この世のものとは思えない。



巨大な生き物はまるで先ほどとかわりなく、微動だにせず、僕をじ~…っと、見つめていた。





長すぎる髪の毛がゆらゆらと揺らめき、大きな大きな目玉を隠したりしながらするものだから、本当に不気味だ。




絶対に殺される。





絶対ヤバい。


何かしなきゃ…






殺される…





逃げれないか…








絶対殺される…





走るか…?




どこに…??








その時、すぐ近くの所で、大きな音で『バチッ!』と炎が弾き、僕は我に返った。



『あっつっ!!…ぶねっ!!』




弾け飛んだ火の粉が僕の肩に一つ、ついた。



『あっつ!!ぁあっつ!!……っ!!!』



こんなに火の近くにいたのに、恐怖のあまり、まるで熱さを感じていなかった自分の『熱に対する記憶』を思い出させるには、十分すぎるぐらい火は熱く、火の粉を、半ばパニック状態で慌てて払いのけていると、僕はこの巨体で不気味な生き物から目を反らしたことに、しばらくしてから気がつき、すぐさまに、とっさに視線を戻した。




『…っ!!!!』





目玉の下にはさっきまで何も無かったはずだ。


その目の下には口らしいものが出来ていて、その急に現れた口らしきものは、三日月のように端と端が上に上に上がって
……、



まるでニタ~…と笑っているかのように、いや、その生き物は、僕を見て確実に笑っている…。




さらには、今もなお断続的に聞こえる『ゴー…』という地鳴りによく似た音が、この不可解な一連の出来事で、よりいっそう恐ろしく、不気味な雰囲気を演出していた。











その時だった。



それまで断続的に聞こえてきていた、地響きのような『ゴー…』という重低音が突然消えた


息を吸う音が響き渡っていくかのような無音の中、



その不気味で巨大な生き物の口元から、




呟くように、


か細くて弱々しい、





人間でいうところの、




裏声をつかったような違和感のある声が、







聞こえてきた。






『エマオ…カノイツア…』






『カノルジンカクツア…』





『ナダンルエミニニオハレオアャジ…ケケケ』





『キイクゴジ…キイクゴジ…キイクゴジ…』





その巨大な身体からして想像がつかない声色と声の小ささに、身の毛がよだつのを頭部あたりで主に感じていた。


何語かもわからない、暗号のような、意味がわからない言葉に、一体何をされるんだろうという、先の見えない恐怖が増していく。

恐らく、『何か』をすることが決まったのだと思う。







一瞬だった。





僕の目をそらすことなく、裏声のようなか細い声で、暗号のような言葉を発したその不気味で巨大な生き物は、


笑い、






僕を尋常じゃないスピードで、





至極簡単にひょいと捕まえ、




まるでゴミをすてるかのように、



勢いよく、




黒牛が引く、燃え盛る炎の、





車輪付きの小屋へと、





僕を





強引に投げ入れた。







ズダーーーン!!!



大きな音が闇の中に響いた。







もうろうとする意識の中、僕は、『そういえばなんでこいつはここにきたんだろう…』と、思っていた。




口から温かくて、ドロッとしたものが流れ、僕は気を失った。







(がっつ)

小学裏四年生

  • 2013/11/18(月) 13:07:34

ぼくの大好きな井下さんが、笑っている。ぼくも得意になってもっと面白いことをしようと考える。







よーし!マラカスダンスをして笑わせよう!!






『オイがっつって!!』






大きな怒号が聞こえて、僕はその声がするドア付近に目をやった。






北崎くんだった。








北崎くんが例のあの冷たい目で僕を無言で見ている。手にはごみ箱があった。
僕はハッとして北崎くんに詰め寄った。






『ごめん!北崎くん!ごみ箱僕も持って行くから…!ごめん!!』





教室の扉がバタンと勢いよく閉まって北崎くんは行ってしまった。
僕は今日日直じゃない。僕の仕事じゃない。けど、そんなことはどうでも良かった。



北崎くんを…









怒らせてしまった…。





 








教室中がシン…と静まり返った。







僕は井下さんを後に、慌ててドアへと駆け出した。






『北崎くん…!北崎くん…!ごめん…!ごめん北崎くん!!本当ごめんなさい!』






北崎くんが怒ってしまった。北崎くんを怒らせてしまった。北崎くんが、ゴミ投げにせっかく僕を誘ってくれたのに。





僕はもうおしまいだ。身体中が一気に冷たくなっていく。





ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい






走れど走れど北崎くんに追いつかない。僕は北崎くんの背中に向かって誤り続ける。






『怒らないで北崎くん!もう井下さんと話さないから!!』







かわいくて大好きな井下さんと話していて、夢中になってしまった自分をとことん恥じた。夢中になって、おそらく何回も呼んでいたのだろう、あの北崎くんの声が全く聞こえてなかった。あの北崎くんの声が。






自分はもう、二度と舞い上がってはいけない。浮かれてはいけない。調子に乗ってはいけない。








北崎くん…



北崎くん…



ごめんなさい…




本当に本当にごめんなさい…










(がっつ)

受け入れた一つの苦しみ

  • 2013/11/25(月) 22:36:23

『う…ん。うっ!!…いててて…!』


頭が痛い。ズキンズキンと脈を打っている。

なんだ?割れるようにいたい。頭だけじゃなく、右肩と膝関節が痛い。



それしても嫌な夢を見た。

小学生四年生の時の。

これまでにも同じ夢を何度となくみている。


すごく嫌な気分だ…。





あの時の気持ちがフラッシュバックするんだ…。



なんであの時北崎くんのこと一回で聞こえなかったんだろ…





僕の部屋の中は遮光カーテンをしているから暗い。光が隙間からこぼれておらず、真っ暗なところを見ると、まだ夜中らしい。




それにしても…なんだか長い夢をみた。


そうだ…。巨大な化け物を見たんだ。



いつつつ…!頭が一番痛い。





目が暗闇に慣れてきて、景色が見えてきた。






『!!!』




隆々とした筋肉…。


地面につきそうなほどの、長い髪の毛…。


一つ目…。


どす黒く、赤い肌…。




夢?




いや夢じゃない…。



僕は今はっきりと記憶を思い出していた。



夢なんかじゃなかったんだ…。



化け物が…、


僕を投げ飛ばしたあの化け物が…、僕の目の前に立っていた。


頭が痛い…。





僕はごくんと唾を飲み込んだ。





また、あの感情がぶり返し、僕は身震いをした。



こいつは僕を掴み、恐ろしい勢いで投げ飛ばした…。尋常じゃない力で。


化け物は微動だ似せず、こちらの様子をじっ…と伺っている。


全くなにがなんだか分からない。


こいつの近くにいたくない。



けど走ったら確実に捕まえられる。




それは確実にだ。






身体中が、恐怖を思い出し始めた。






薄暗い中、この化け物は一体どのくらいのあいだここにいたのか。


どのくらい監視されていたのか。




ここはどこかの建物の中のようで、殺風景な部屋で、…まるでなにもないように見える。







ん?

となると…、


僕は牛車から降り、どこかに運ばれた…ということになる…。





…。







この時僕は何故だか今、初めて、思っていた、感じていた、けど夢だと思っていた『そのこと』に対して、噛み砕きたくない思いが、喉の奥を伝って、胃の中へ、そして身体のなかにじっとりと浸透していくのを感じた。





僕は死んだに違いない、と。





そしてここは想像するに…





あの世だ…。





あの世って…





ほんとじゃん…。







心臓がドクドクと脈をうつたびに、頭と足が激しく病んだ。






くっ…!!




僕は心にバシンッと鞭を打った。







頭を急速に整理しなくちゃいけない。




ぼくはしんだ。



死んだことをまず冷静に受け止めてから、実にクールに今目の前で起こっている問題に対処しなくてはならない。



おばあちゃんや、おじいちゃんが言っていたあの世については、あの世があったという一点は正しい。



しかし、その詳細は正しくない可能性が高い。



鬼って角があるんじゃないのか??




まずその時点で、おばあちゃんや、おじいちゃんから話していた、あの世に対しての固定観念を変えるべきだ。



何がおこるかわからない。





死んでからも痛みはある。



死んだら痛みがあるなんて、無いと思っていたのに。




死んでからも痛みはあったんだ。





話が違う!じゃなくて、今起こっていることを受け止めるんだ。





僕は今死にたくない。



どうでもいいやなんて、何故か今思ってない。



何故かと理由をつけるのには時間が必要だが、今しいて言うならば、率直に




『恐怖』、だ。











考えるべき問題を整理するんだ。





死んだということのモヤモヤ(死んだんじゃないの?夢見てるんじゃないの?)は今けした。


死んだということを受け止めたから、この問題はクリアだ。



新しい問題が発生しているが、優先順位を気にして、次の問題だ。



この化け物が動き出し、僕に危害を与えるパターンをみつけるんだ。






…さっきはこいつが喋り出してから、ぶん投げられた。


となると…、今わかることといえば、投げる行為をする前の行動は、なにかしらの発語があってからだ。…ということになる。


『喋らなければ、襲ってこない』という仮説条件ができる。





仮説はこの一つだけ?




他にどんなことを考えられる?




…わからない。




全然わからない。




なんでこんな思考をしているかもわからない。



僕はこんな考え方は普段しないはずだ。




…。



まるで名探偵…。



漫画の中のキャラクターの借り物の考え方だ。



たとえものすごい頭の切れる、あの名探偵コナンならすぐにいくつものパターンが出るんだろう。


ルパン三世なら…。


ライトなら…





Lなら…。







少しでいい…




少しでいいからその能力を分けてほしい。




僕に今だけでいいからのりうって欲しい…。









喋るな…





喋るな…





そうだ…




喋るなよ…





僕は目をそらさず、目の外側の視野で見えるところに注意を向け、



窓がないか、




ドアがないかを



調べ続けた。





逃げる為に。








後ろの方で声がした。





(がっつ)


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